水道に詳しくなれば、家は長持ちする ─仕組みを知って、上手にメンテナンスする方法─

K. 住宅設備(キッチン・システムバス・トイレ・洗面化粧台)
(画像:Canva AIにて作成)

水道の調子が悪くなって初めて、その大切さを実感していませんか。
実際に配管トラブルで床下浸水や高額修理に見舞われた家庭は少なくありません。
水道設備の適切な管理により、配管トラブルは予防できます。
定期的なお手入れで快適な住環境を保ち、安心して暮らせる毎日が実現するでしょう。
給水と排水の基本知識から実践的なメンテナンス術まで、家庭でできる管理方法をわかりやすく解説いたします。

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水道設備の基本構造を理解しよう

水道設備は給水管と排水管の2つの主要な仕組みで構成されています。
それぞれの役割と特徴を正しく理解することで、適切なメンテナンスが可能になるでしょう。

給水管の役割と仕組み

住宅の給水管は、道路下の配水管から水道メーターを通り各部屋へきれいな水を送る大切な設備です。蛇口をひねればすぐ水が出るのは、管内に適切な水圧がかかっているからでしょう。
給水管は常に水で満たされ、高い圧力に耐える構造になっています
現在の主流は、耐久性にすぐれたポリエチレン管や塩化ビニール管といえます。
国土交通省では「マンションの長期修繕計画におけるガイドライン」※で、共用給水管の取り替えを30年~40年ごととしています。

※出典:国土交通省「マンションの長期修繕計画におけるガイドライン」

排水管の構造と特徴

排水管は使い終えた水を下水へ導く重要な設備です。
内側は空洞で、重力だけで流れる仕組みでしょう。
キッチンや洗面所では、悪臭や害虫の侵入を防ぐため、S字やP字型に曲がった排水トラップが設置されています。
塩化ビニール管の耐用年数は30~50年、ポリエチレン管は50年以上の寿命が期待できるでしょう。

劣化のサインを見逃すな

水道設備の劣化は早期発見が重要といえます。
給水管と排水管では異なる症状が現れるため、それぞれのサインを知っておくことが大切でしょう。

給水管の劣化症状

給水管の劣化は、水質の変化として現れることが多いといえるでしょう。
赤っぽい水が出た場合は、給水管の腐食や酸化が考えられます。
特に朝一番の水道水は夜中の間に管内にとどまっているため、赤い色を確認しやすくなるでしょう。
水量の減少も重要なサインです。
水道管の詰まりが進行すると水の通り道が狭くなり、水量が減ります。

排水管のトラブル兆候

排水管の劣化は、排水の流れや臭いの変化として現れるでしょう。
排水が流れず溜まる、下水の臭いがするといった症状がよく見られるといえます。
排水管内で何かが詰まり、水の通り道を塞いでいることが原因です。
同じ住戸で何度も排水トラブルが起きる場合は、排水管が劣化している可能性があるでしょう。

場所別メンテナンス方法

水回りの場所によって汚れの種類や清掃方法が異なります。
キッチン、浴室、洗面所それぞれに適したお手入れ方法を実践することが効果的といえるでしょう。

キッチンの排水管ケア

キッチンの排水管は油汚れによる詰まりが最も多い場所です。
天ぷら油などの大量の油を排水管に流すのは絶対に避けるべきでしょう。
フライパンやお皿に付いた油汚れも、できる限りキッチンペーパーなどで拭き取ってから水洗いするようにしましょう。
日常の清掃では、重曹+酢が効果的といえます。排水管に重曹を振りかけた後、酢をかけて40~50度のお湯で流し込みます。


浴室・洗面所の排水管管理

浴室と洗面所では、髪の毛と石鹸カスが主な汚れの原因でしょう。
毛髪は排水管内に流さず日頃の清掃で除去しましょう。
シャンプー使用後は石鹸カスを水で流す習慣が大切といえます。
清掃には重曹+クエン酸がおすすめです。
排水管に重曹を振りかけた後、クエン酸をまいて40~50度のお湯で流し込みます。


家庭でできる詰まり解消法

排水管の詰まりが発生した場合、軽度であれば家庭にあるもので対処することが可能です。
段階的なアプローチで問題を解決していきましょう。

初期段階の対処方法

軽度の詰まりであれば、家庭にあるもので解消できる場合があるでしょう。
タオルを使った水圧利用法では、排水管にタオルを押し込んで塞ぎます。
50℃ほどのお湯をシンクに溜めた後、一気にタオルを引き抜きます。
お湯の水圧により油汚れを押し流す効果が期待できるといえます。
ペットボトルの底辺をハサミで切り取り漏斗(じょうご)を作り、排水口に差し入れて蛇口を全開にしてお湯を流し込む方法も効果的です。

専用器具を使った清掃

市販のラバーカップも有効な道具といえます。
ラバーカップのゴム部分が完全に水に浸かるくらいシンクに水をため、排水口に対して垂直になるようゆっくり押し当てます。
強く押し込みすぎないよう注意しながら作業してください。
パイプクリーナーの使用も効果的ですが、台所の流し排水口に業務用排水管用洗浄剤(強力薬剤)を使用すると、かえって詰まり症状がひどくなる場合があるでしょう。


水道設備の定期チェックポイント

水道設備の健康状態を保つには、定期的な点検が欠かせません。
家庭でもできる簡単なチェック方法を身につけることで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

日常チェックの重要性

ご家庭の水道設備の維持管理はお客さまの責任といえます。
定期的なチェックが欠かせません。
給排水設備のチェックは、通常1年に2回程度行うことが推奨されているでしょう。
古い建物や、過去に水漏れや異常が発生している場合には、チェック回数を増やすことをおすすめします。

◆スイッチボット 水位センサー 水漏れ防止


チェック時のポイント

水漏れの有無は最も重要なチェック項目でしょう。
目に見える配管接続部分だけでなく、水道メーター周辺や床下の湿気状況も確認しましょう。
配管接続部の水漏れを早期に発見できれば簡単な部品の交換ですみます。
しかし長期間放置してしまった場合、設備全体の故障につながり、本体を買い替えなければいけない事になる可能性があるといえます。

◆アーロンテープ 融着補修テープ SR-38


プロに依頼すべきタイミング

家庭でのメンテナンスには限界があります。
専門業者に依頼すべき状況を見極めることで、適切なタイミングで効果的な修理を受けることができるでしょう。

業者依頼の判断基準

頻繁に詰まるようになった場合は、水道業者に相談するタイミングでしょう。
詰まりの原因が分からないときほど、専門業者の的確な判断が求められるといえます。
給水管の詰まりについては、排水管と比べて自分で直しにくく、水道水を安全に使うために無理に手を加えず水道業者に依頼することをおすすめします。

費用の目安

給排水設備交換コストは以下の通りです

・給水管全体交換:100,000円〜200,000円
・排水管全体交換:200,000円〜300,000円

給排水設備チェックの一般的なコストは、1回あたり10,000円~30,000円です。
定期的なメンテナンス契約を結ぶことで、単発のチェックよりもお得になる場合があります。

長期的な設備保全戦略

水道設備を長持ちさせるには、計画的な保全戦略が重要といえます。
予防メンテナンスから設備更新まで、長期的な視点でアプローチしていきましょう。

予防メンテナンスの効果

定期的なチェックを行うことで、不具合や劣化を早期に発見し、大きなトラブルに発展する前に対応することができます。
断水などの緊急対応が必要な事態を予防することが可能です。
適切なチェックとメンテナンスによって、給排水設備の寿命を延ばすことが可能です。

設備更新のタイミング

つまり予防のため一般家庭では目安として5年に一度、業者による高圧洗浄機による排水管清掃を行うことをおすすめします。
配管の素材別耐用年数は以下の通りです

・鉄管・鉛管:15~20年 ・銅管:約30年
・塩化ビニール管:40~60年
・ポリエチレン管:50年以上

築年数の古い住宅では、現在主流のポリエチレン管への交換を検討することで、長期的な安心を得ることができます。水道設備は住まいの基盤となる重要なインフラといえます。日常的な注意深い観察と適切なメンテナンスにより、快適で安全な住環境を長期間維持することが可能になります。

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水道設備以外にも、住宅には定期的なお手入れが必要な箇所がたくさんあるでしょう。
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    (執筆者:あおちゃん)