住宅展示場で理想的な家を見つけてウキウキ、意気高揚したのもつかの間。
見積もりをもらったけど、「何にいくらかかっているのか」がよくわからない……総額もかなり高い。そんな経験をしたことはありませんか?
家づくりは、検討のし始めは夢と期待が膨らみますが、「あれはダメ」「これは難しい」とやっているうちに「最初に描いた理想形」はどこかに行ってしまいます。家づくりのコストをシンプルに分解して、合計できるツールがあれば良いのに、と思った方もいるかもしれません。
実は、家づくりのコストには「基本の計算式」があり、それを知ることで営業マンより詳しくなれます。この記事では、注文住宅のコストの仕組みを図解でわかりやすく解説。性能を下げずに予算内に収める「賢い選択」のポイントもお伝えします。
なぜ家のコストはわかりにくい? その理由を知ろう
見積書を受け取ったとき、こんな経験はありませんか?
「基礎工事費:○○万円、木工事費:○○万円、設備工事費:○○万円…」
項目が多すぎて、どこにどれだけお金がかかっているのか、さっぱりわからない。営業マンに質問しても、専門用語ばかりで理解が追いつかない。
さらに、最初に聞いていた「坪単価○○万円」と、実際の総額が全然違う…なんてことも。これは、坪単価には「付帯工事費」「諸経費」「オプション費用」などが含まれていないためです。
でも安心してください。実は、家づくりのコストには「基本の計算式」があります。この仕組みを理解すれば、見積もりの中身が見えてきて、営業マンと対等に話せるようになります。
コストの基本式を理解しよう【材料×工数×現場管理費】

家づくりのコストは、次のシンプルな式で表せます。
原材料費(量・面積) + 手間賃(日数) + 現場管理費 = コスト
もう少し具体的に言うと、
- 原材料費 = 材料の単価 × 使う量(面積や個数)
- 手間賃 = 職人さんの日当 × 工事にかかる日数
- 現場管理費 = 現場監督や安全管理などの費用
これらを合計したものが、工事のコストになります。
家づくりは「15の工程」で進む
家は一気に建つわけではなく、以下のような順番で工事が進んでいきます。
仮設・解体 → 基礎 → 木工事(大工) → 屋根・外壁 → 内装・設備 → 外構など

コストは、この工事の進行順に発生していきます。例えば、基礎工事では「コンクリートの量(材料費)」と「型枠を組む日数(手間賃)」がかかります。
材料費と工期は「面積」と「形」で決まる
ここで重要なポイントが2つあります。
- 材料費は「面積」に比例する 基礎工事や屋根工事は「建築面積(≒1階の面積)」、大工工事や内装工事は「延べ床面積(全フロアの床面積の合計)」で材料の量が決まります。
- 工期は「家の形」で変わる シンプルな長方形の家より、凹凸の多い複雑な形の家のほうが、構造計算も施工も手間がかかります。その分、工期が長くなり、コストも増えます。
つまり、同じ床面積でも、家の形によってコストは大きく変わるということです。
150工程シミュレーターで「見積もりの中身」を理解しよう
「もっと具体的に、自分の家のコストを知りたい!」という方におすすめなのが、「150工程シミュレーター」です。
このツールを使えば、工法、屋根、外壁、オプションなどを選んで、自分でコストをシミュレーションできます。
15の工程を細かく見える化
150工程シミュレーターでは、家づくりにかかる費用を15の工程に分けて細かく表示します。
- 仮設工事・地盤改良・解体工事(足場、測量、古い建物の解体、地盤調査など)
- 基礎工事(ベタ基礎のコンクリート工事)
- 大工工事(土台、柱、梁・桁、構造用合板、バルコニー、ロフトなど)
- 断熱工事(基礎用・壁用・屋根用の断熱材、気密工事)
- 屋根工事(ガルバリウム鋼板、遮熱シート、雪止め、太陽光パネルなど)
- 外装工事(サイディング壁など)
- タイル・石工事(玄関ポーチ仕上げなど)
- 左官工事(基礎の立ち上がり、漆喰・シラス壁などのオプション)
- 内装工事(床材、壁材、階段、可動棚、和室オプションなど)
- 金属製建具工事(窓)(樹脂サッシ、Low-Eトリプルガラスなど)
- 設備工事(室内ドア、キッチン、バス、トイレ、洗面など)
- 給排水設備工事(エコキュート、エコジョーズ、浄化槽など)
- 電気工事(配線、インターホン、電力申請など)
- 空調工事(エアコン設置)
- 外構工事(門扉、玄関アプローチ、駐車場、植栽など)
これらの項目ごとに「材料費×面積」「工賃×日数」が計算され、最終的な見積もり金額が算出されます。
自分で調整しながらコスト感覚を身につける
このツールの優れている点は、以下のような条件を自分で変更できることです。
基本情報の入力
- 敷地面積、建ぺい率、容積率から建築面積と延床面積を自動計算
- 1世帯か2世帯か(玄関、キッチン、バス、トイレの数が変わる)
- 平屋か2階建てか
オプションの追加・削除
- 既存建物の解体(木造 or 鉄骨造)
- 地盤調査・地盤補強(表層改良、柱状改良、鋼管杭)
- バルコニー、ロフトの追加
- 太陽光パネル(kW数も調整可能)
- 和室オプション(畳仕上げ、襖・障子セット)
- 外断熱の追加
- 駐車場の屋根、植栽の本数
材料・設備のグレード変更
- 断熱材の種類(寒冷地向け、沖縄など温暖地向けに調整可能)
- 屋根材(ガルバリウム鋼板、瓦など)
- 窓(樹脂サッシ Low-Eトリプルガラス、アルミサッシなど、サイズも変更可)
- キッチン・バスのグレード
- 給湯器(エコキュート or エコジョーズ)
- エアコンの台数
これらを変更すると、リアルタイムで見積もり金額が変わります。
「屋根を瓦からガルバリウムに変えたら○○万円下がった」 「太陽光を追加すると○○万円上がる」 「樹脂サッシに変えると初期費用は上がるけど、断熱性能が大幅アップ」
といった具合に、コストの増減を体感的に理解できるのです。
何度も試して「自分にとってのベスト」を見つける
家づくりは一度ではわかりません。頭の中で「どんな家にしようか」をまとめて、細部を決めるのには非常に時間がかかります。
だからこそ、このシミュレーターを使って何度も試してみることが大切です。
- まず一度、見積もりを出してプリントする
- メモを取りながら「これは必要」「これは削れる」を整理する
- 「これは安い方にしよう」「逆にこれは豪華にしたい」と優先順位をつける
- 再度シミュレーションして、予算内に収まるか確認
この繰り返しで、設備の選び方やコスト削減のコツがわかってきます。
見積もりはメールで送信できるので、家族で共有しながら話し合うこともできます。
▼150工程シミュレーターはこちら https://www.craftsman.fun/simulation1/
【時間がないときは……】
「敷地面積」を入力して「建築面積(ほぼ1階の面積」と「延べ床面積(フロアの合計床面積)」を調整して、いちばん下のところで「メールアドレス」を「見積もり結果の詳細pdf」を入手できます。
▼▽▼▼▽▼ 見積もり結果の詳細pdf ▼▽▼▼▽▼

動画で使い方をチェック
150工程シミュレーターの各費用項目の詳しい説明と使い方は、こちらの動画でご覧いただけます。 実際に操作しながら見ると、より理解が深まりますよ。
【150工程シミュレーター解説動画】
https://www.youtube.com/watch?v=ZmJE0FYQ6hY
【コストの正体 解説動画】
https://www.youtube.com/watch?v=tXNRW14EDco
材料費の「3つの価格」と利益構造を知っておこう
見積もりを見るとき、もう一つ知っておきたいのが「材料費の価格には3種類ある」ということです。
材料費の3つの価格
- カタログ単価(一番高い・定価) メーカーのカタログに載っている希望小売価格。実際にはこの価格で買うことはほとんどありません。
- 市況単価(市場取引価格・変動する) 建材の市場での取引価格。需要と供給で変動します。
- 実仕入れ単価(メーカーの原価・一番安い) ハウスメーカーや工務店が、大量発注などで仕入れる実際の価格。カタログ単価の3分の1になることもあります。
ハウスメーカーの利益構造
では、ハウスメーカーはどこで利益を得ているのでしょうか?
見積もりの「売上」の中には、次のような項目が含まれています。
- 製造原価(材料費+手間賃+現場管理費)
- 粗利益
- 本社経費・広告費(モデルハウス、CM、営業マンの人件費など)
- 営業利益(約10%)
つまり、ハウスメーカーの利益は「製造原価」に上乗せされているわけです。だからといって「高い=悪い」というわけではありません。
大切なのは、「何にお金を使っているか」を理解すること。ハウスメーカーは広告費やアフターサービスにコストをかけていますし、工務店は地域密着で小回りが利く分、仕入れ価格が高い場合もあります。
自分が何を重視するかで、選ぶべき会社は変わってきます。
性能を下げずにコストを抑える「賢い選択」チェックリスト
「予算オーバーしているけど、性能は落としたくない…」そんなときに役立つ、賢い選択のポイントをご紹介します。
☑ 家の形:総二階にする
平屋と二階建てを比べると、同じ延べ床面積でも平屋のほうが基礎面積と屋根面積が大きくなるため、コストが高くなります。
さらに、二階建ての中でも「1階と2階の床面積を揃えた総二階」が最も低コストです。1階より2階が小さい家や、複雑な形の家は、構造計算や施工の手間が増えるため、コストが上がります。
アドバイス: シンプルな箱型(総二階)を基本にして、必要に応じて形を工夫しましょう。
☑ 断熱材の選択:性能と価格のバランスを見る
断熱材には、グラスウール、硬質ウレタン、フェノールフォームなど、さまざまな種類があります。
価格だけで選ぶのではなく、「厚みを増やせば安い断熱材でも性能は確保できる」という視点が大切です。
例えば、グラスウールは比較的安価ですが、厚みを増やすことで高い断熱性能を実現できます。
アドバイス: 断熱性能の数値(UA値など)をチェックして、コストと性能のバランスを見極めましょう。
☑ 窓の選択:樹脂サッシを選ぶ
窓は家の断熱性能に大きく影響します。
- アルミサッシ:安いが断熱性が低い
- 樹脂サッシ(または複合サッシ):初期費用は高いが、断熱性が高く冷暖房費を抑えられる
樹脂サッシは初期投資がかかりますが、長期的に見れば光熱費で元が取れます。

アドバイス: 窓は「削ってはいけない部分」と心得ましょう。快適性と省エネ性に直結します。
☑ 設備:メーカー標準品を賢く使う
キッチンやバス、トイレなどの住宅設備は、ハウスメーカーが大量に仕入れている「標準品」を選ぶと、コストを抑えられます。
標準品は、メーカーとの契約で仕入れ価格が安くなっているため、性能と価格のバランスが良いのです。
アドバイス: こだわりたい部分とコストを抑える部分を分けて考えましょう。
「安さ」だけで選ばず、価格に見合った性能を見極めよう
ここまで、コストの仕組みと賢い選択のポイントをお伝えしてきました。
最後に、一番大切なことをお伝えします。
それは、「安さ」だけで選ばず、「価格に見合った性能」を見極めるということです。
1年住んで「快適」か、10年住んで「耐久性」があるか
家は、建てたら終わりではありません。1年住んで快適に暮らせるか、10年住んでも耐久性があるか、という視点で考えることが大切です。
例えば、断熱性能を削って安く建てても、夏は暑く冬は寒い家になり、冷暖房費がかさんでしまうかもしれません。長い目で見れば、初期投資をしっかりかけたほうが、トータルコストは安くなることもあります。
営業マンと対等に話せるようになろう
営業マンはプロですが、あなたも知識を身につければ対等に話せます。
コストの中身(材料×量+手間×時間)を理解していれば、見積もりの増減も感覚的にわかるようになります。「この変更でなぜこれだけ高くなるのか?」と質問できるようになれば、納得のいく家づくりができます。
(執筆者:にじこ)

