【高校・大学の学費】タダで行ける範囲が拡大、2025年の学費無償化、給付金はどうなる?

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(更新日:2025年4月23日)

少子化が深刻な日本において、子育て世帯の経済的負担は大きな課題となっていますね…。

そんな中、子育て世帯にとって、まさに朗報と言えるニュースが飛び込んできました。それは、2025年から、高校・大学などの学費無償化の範囲が大きく拡大されるというもの。これは、これまで経済的な理由で進学を諦めざるを得なかった子どもたちにとって、とても喜ばしいニュースではないでしょうか。

今回の学費無償化の拡大によって、「うちの子は対象になるの?」「具体的に学費はどうなるの?」「手続きは一体どうすればいいんだろう?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では…、
  • 2025年から始まる学費無償化の新制度は、一体どこまで対象範囲が広がるのか?
  • 特に注目される大学の学費無償化は、どのような条件で利用できるのか?
  • 高校の学費無償化制度に変更点はあるのか?
  • 学費の負担を軽減する給付金制度は、他にどのようなものがあるのか?
  • 制度を利用する上で注意しておきたいポイントはあるのか?

といった、皆さんが気になる情報を分かりやすく解説していきます。

ぜひこの記事を読んで、最新の学費無償化と給付金制度を理解し、お子様の進路選択に役立ててくださいね。

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1.大学の学費無償化、多子世帯への新たな支援を徹底解説

大学の学費無償化、多子世帯への新たな支援を徹底解説

2025年度から始まる新たな支援制度の中でもっとも注目されているのは、大学など高等教育機関の学費無償化の拡大です。

これまでにも学費支援制度は存在しましたが、2025年からは、特に多子世帯を対象とした新たな支援制度が加わることで、より多くの方が経済的な負担を軽減し、高等教育を受けることが可能になります。

ここでは、どのように無償化が拡大されたのか、対象者や変更点など気になるポイントを詳しくみていきます。

●2025年、大学無償化の何が変わる?現行制度との違い

現在、大学などの高等教育機関における学費支援制度としては、主に住民税非課税世帯およびそれに準ずる低所得世帯を対象としたものがあります。

しかし、2025年からは、これに加えて、お子さんを3人以上扶養している多子世帯を対象とした新たな学費無償化制度がスタートします。

この新たな制度の導入によって、これまで所得制限によって支援を受けられなかった多子世帯も、学費の負担を大幅に軽減できるようになるでしょう。

●新制度の対象となる高等教育機関とは?

新たな多子世帯向けの学費無償化制度の対象となるのは、以下の高等教育機関です。

対象となる高等教育機関
  • 国公立大学
  • 私立大学
  • 短期大学
  • 高等専門学校(4・5年生)
  • 専門学校

幅広い教育機関が対象となるため、多くの方がこの制度の恩恵を受ける可能性がでてきますね!

●多子世帯向け新制度の詳細 〜タダになる範囲は?〜

この新制度の最大のポイントは、入学金と授業料が実質的に無償化になることです。経済的な理由で進学を諦めていた多子世帯の学生にとって、これはとても大きな支援となります。

具体的な支援内容の例は以下の通りです。

国公立大学の場合》
  • 入学金:約28万円を上限に支援
  • 授業料:年間約54万円を上限に支援
私立大学等の場合》
  • 入学金:約26万円を上限に支援
  • 授業料:年間約70万円を上限に支援

これらの上限額までの入学金と授業料が支援されるため、多くの大学・学部において、自己負担なしで通うことが可能になります。

ただし、学費がこれらの上限額を超える場合は、超過分は自己負担となります。

●現行制度と2025年新制度の比較

現行制度と2025年から始まる新制度の主な違いを、以下の表にまとめました。

項目現行制度(主な対象者)2025年新制度(主な対象者)
対象者住民税非課税世帯およびそれに準ずる低所得世帯(年収目安:380万円未満)子ども3人以上を扶養する多子世帯
所得制限あり(年収制限あり)なし(所得に関わらず適用)
支援内容授業料・入学金の減免と給付型奨学金の支給入学金と授業料の実質無償化(上限額あり)
対象教育機関大学、短大、高専(4・5年生)、専門学校(6年制医学部含む)大学、短大、高専(4・5年生)、専門学校
条件成績要件あり扶養期間の条件、留年時の支援打ち切り可能性あり

この表からも、2025年の新制度は、所得に関わらず多子世帯を広く支援するものであることが分かりますね!

●手続きはどうなる?いつから申請できる?

2025年度から開始される多子世帯向けの大学無償化制度を利用するための手続きは、大きく分けて「予約採用」と「在学採用」の2つの方法があります。ご自身の状況に合わせて、いずれかの方法で申請を行うことになります。

・それぞれ(予約採用、在学採用)の申請方法や時期、流れについて

予約採用在学採用
対象者主に高校3年生(進学予定者)主に大学・短大・高専・専門学校の在学生
申請時期高校在学中(通常4月下旬頃に書類配布開始)大学等入学後(申請期間は大学等により異なる)
申請場所在籍する高校経由で日本学生支援機構(JASSO)へ進学先の大学等の窓口またはJASSOのオンラインシステム
申請の流れ1. 高校から書類受取
2. JASSOへ申込
3. 秋に採用候補者決定通知受取
4. 大学へ通知書提出
1. 大学等で書類受取
2. JASSOオンライン申請
3. 審査・結果通知
4. 支援開始
結果通知時期秋頃(採用候補者決定通知)申請後、数ヶ月以内
メリット進学前に支援の可否がわかるため、経済的な見通しを立てやすい大学等入学後の経済状況の変化に対応できる場合がある
注意点早めの準備と申請が必要大学等ごとの申請期間を確認する必要がある

・必要書類

申請には、一般的に以下の書類が必要となります。詳細については、申請の案内を必ず確認してください。

必要な書類
  • 申請者(学生)本人の情報: 住所、氏名、学籍番号など
  • 世帯全員の住民票
  • 保護者の収入証明書: 源泉徴収票、確定申告書のコピーなど
  • 在学証明書(在学採用の場合)

・申請時の注意点

申請時には以下の点に特に注意しましょう。

  • 多子世帯の要件: 多子世帯として無償化の支援を受けるためには、申請時に扶養しているお子さんの数が3人以上である必要があります。この扶養状況が変わった場合、支援の対象外となる可能性があるため注意が必要です。
  • 申請期間: 申請には定められた期間があります。特に予約採用を希望する場合は、高校からの案内に注意し、早めに準備を進めることが大切です。進学後の在学採用についても、大学が指定する申請期間を必ず守りましょう。
  • 審査と結果通知: 申請後、JASSOはマイナンバーなどを活用して扶養状況や所得状況を確認し、支援の可否を決定します。結果通知までには時間がかかる場合があることを理解しておきましょう。支援が決定した場合、授業料の減免などの手続きが開始されます。

大学無償化の手続きは、いくつかのステップがあります。スムーズに支援を受けるためには、早めに情報を収集し、必要な書類を準備することが大切になってきます。

詳細な手続きや申請期間については、進学を希望する大学の学生支援課や、日本学生支援機構(JASSO)の公式サイトで必ず確認するようにしてください。

※参考URL:【所得制限ナシ】子ども“3人以上”で大学無償化へ…政府「第3子悩んでいる人に」 効果は?

2. 高校の学費無償化はどうなる?現行制度と大阪府の先進的な取り組み

高校の学費無償化はどうなる?現行制度と大阪府の先進的な取り組み

大学の学費無償化とともに、高校の学費についても大きな変化がありました。2025年4月からは、国の高等学校等就学支援金制度が大きく変わり、より多くの家庭が学費支援を受けられるようになります。

ここでは、その新しい制度と、全国に先駆けて先進的な取り組みを進める大阪府の事例を見ていきましょう。

●国の高等学校等就学支援金制度〜2025年4月から所得制限を撤廃!〜

国の「高等学校等就学支援金制度」は、公立・私立を問わず、高校に通う生徒のいる家庭の経済的な負担を軽減するために設けられた制度です。

2025年4月からは、これまで設けられていた所得制限が撤廃され、全ての世帯が支援の対象となりました。

《新たな支援額

  • 公立高校の場合: 全ての世帯に対して、月額9,900円(年額11万8,800円)が支給されます。これにより、公立高校の授業料は実質的に無償となります。
  • 私立高校の場合: 全ての世帯に対して、年間最大39万6,000円が支給されます。これまで所得に応じて上限額が異なっていましたが、2025年4月からは一律となります。ただし、私立高校の授業料がこの上限額を超える場合は、超過分は自己負担となります。

これまで所得制限によって支援を受けられなかった家庭も、2025年4月からは国の就学支援金を受けられるようになり、高校の学費負担が軽減されます。

・私立高校の授業料はどうなる?

国の就学支援金(年間最大39万6,000円)が支給されることで、多くの私立高校においても授業料の負担が大きく軽減されます。

しかし、学校によって授業料の設定額は異なるため、支援金だけでは授業料を完全にカバーできない場合があることに注意が必要です。

国の制度による支援は、主に「授業料」が対象です。入学金、制服代、教材費、修学旅行費などの費用は、原則として支援の対象外となります。

●【注目!】大阪府の高校完全無償化〜全国に先駆けた取り組み〜

大阪府では、国の制度に加えて、さらに独自の先進的な取り組みを進めています。

それは、公立・私立を問わず、所得制限なしで府内のすべての高校生の授業料を完全無料にするというものです。

大阪府の高校完全無償化の取り組みとは?
  • 制度の概要: 所得に関わらず、大阪府内の高校(全日制、定時制、通信制)に通う生徒の授業料が無料になります。
  • 2025年度の対象範囲: 2024年度に高校1年生が対象となり、2025年4月からは高校2年生までが対象となります。将来的には全学年が対象となる見込みです。

この制度は、経済的な理由で進路を諦める生徒をなくし、すべての子どもたちが平等に教育を受けられる機会を保障することを目的としています。

国の所得制限撤廃に加えて、大阪府独自の完全無償化は、子育て世帯にとって、とても大きな支援となるでしょう。

3. 小・中学校の学費無償化は?〜現行と地域による差〜

小・中学校の学費無償化は?〜現行と地域による差〜

高校や大学の学費無償化に注目が集まる中で、小・中学校の学費はどうなっているのでしょうか。

ここでは、現在の小・中学校における学費無償化の状況と、地域による違いについて解説します。

●【公立小・中学校】授業料・教科書代は引き続き無償

公立の小学校・中学校においては、これまでと同様に授業料と教科書代は無償となっています。これは、すべての子どもたちが等しく教育を受ける機会を保障するための国の重要な取り組みです。2025年4月現在、この点に変更はありません。

ただし、授業料と教科書代以外にかかる費用、例えば給食費、学用品費、PTA会費、修学旅行費などは、基本的に保護者の負担となります。

・経済的な支援が必要な家庭には「就学援助制度」

これら上記の費用について、経済的な援助が必要な家庭に対しては、「就学援助制度」が設けられています。

この制度は、国と自治体が協力して実施していて、支援の内容や対象となる所得基準は自治体によって異なりますが、一般的に以下の費用の一部または全部が援助されるようです。

  • 学用品費
  • 給食費
  • 修学旅行費
  • その他(医療費、通学費など、自治体によって異なる)

ご自身の居住する自治体の教育委員会や学校に問い合わせることで、制度の詳細や申請方法について確認することができます。

●【私立小・中学校】無償化の動きは限定的、自治体独自の支援に注目

一方、私立の小学校・中学校においては、国の授業料無償化制度は現在のところありません。しかし、一部の自治体では、独自に私立小・中学校に通う家庭への経済的な支援制度を設けています。

・【東京都の例】私立高等学校等授業料軽減助成金事業

東京都では「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」という制度があり、これは私立高校だけでなく、私立中学校の授業料に対しても助成が行われる場合があります。

世帯の所得に応じて助成額が異なり、国の就学支援金に上乗せして支援が行われるケースもあります。

・お住まいの自治体の情報を確認してみましょう

東京都の例のように、私立小・中学校への学費支援制度は、自治体によってその有無や内容が大きく異なります。

私立学校への進学を検討している場合は、お住まいの自治体の教育委員会やウェブサイトで、独自の支援制度がないか確認してみることをお勧めします。

●給食無償化の動きは?今後どうなる?

子育て支援の一環として、小・中学校の給食費を無償化とする動きが一部の自治体で見られます。これは、保護者の経済的な負担を軽くするだけでなく、すべての子どもたちに栄養バランスの取れた食事を摂る機会を保障するという点からも注目されています。

現時点では、給食の無償化は全国的な広がりを見せているとは言えませんが、子育て支援の重要性が高まる中で、今後、他の自治体でも同様の取り組みが広がる可能性があります。

保護者の皆様は、お住まいの自治体の教育関連情報に引き続き注目してみてくださいね。

4.学費負担を軽減する!国と地方自治体の給付金制度

学費負担を軽減する!国と地方自治体の給付金制度

学費の無償化制度だけでなく、国や地方自治体では、学費の負担を軽減するための様々な給付金制度が用意されています。

これらの制度を賢く活用することで、経済的な負担をさらに軽減できる可能性があります。ここでは、主な給付金制度についてご紹介します。

●地方自治体独自の上乗せ給付金

国の学費支援制度に加えて、地方自治体によっては、独自の給付金制度を設けて、学費の負担を軽減している場合があります。これらの制度は、自治体によって対象者や支給額、申請方法などが異なります。

自治体によっては国の上乗せとして独自の給付金制度を設けている場合があります。お住まいの自治体にも給付金の上乗せがあるかも知れません。ぜひ一度確認してみてはいかがでしょうか?

●高校生等奨学給付金

国の制度として、「高校生等奨学給付金」があります。これは、主に低所得世帯の高校生に対して、授業料以外の教育に必要な費用(教科書代、学用品費、通学費、生徒会費、PTA会費など)の一部を給付する制度です。

・対象となる世帯の目安住民税非課税世帯など、
経済的に困窮している世帯
・給付額都道府県や世帯の状況、
学校の種類(全日制、定時制、通信制)
によって異なる

この給付金は、授業料が無償化されたとしても、かかってしまう教育費を支援するものであり、経済的な負担が大きい家庭にとっては非常に重要な制度といえます。

申請方法や支給額、対象となる所得基準などは、お住まいの都道府県の教育委員会にお問い合わせくださいね。

●その他の学費関連の支援制度

上記以外にも、学費の負担を軽減するための支援制度が存在する場合があります。

・国の教育ローン

日本政策金融公庫が提供する教育ローンは、入学金や授業料だけでなく、在学に必要な様々な費用に利用できます。低金利で利用できるため、民間の教育ローンと比較して返済負担を抑えることができます。

・大学・学校独自の奨学金制度

多くの大学や専門学校では、独自の奨学金制度を設けています。成績優秀者向けの奨学金や、経済的に困窮している学生向けの奨学金など、様々な種類があります。進学を希望する学校のウェブサイトや学生支援課で確認してみましょう。

・民間団体の奨学金制度

民間の企業や財団などが、独自の奨学金制度を提供している場合があります。これらの情報は、インターネットの奨学金情報サイトなどで探すことができますので、ぜひ確認してみてくださいね。

【まとめ】

この記事では、2025年から大きく変わる高校・大学の学費無償化制度を中心に、小・中学校の現状、そして学費負担を軽減するための給付金制度について詳しくご紹介してきました。

2025年、学費無償化等の教育支援はどうなった?
  • 【大学】多子世帯を対象とした新たな学費無償化制度がスタートし、経済的な理由で進学を諦めていた学生にとって、大きなチャンスが広がります。
  • 【高校】国の高等学校等就学支援金制度が所得制限を撤廃し、全ての世帯が授業料の支援を受けられるようになります。また、大阪府では全国に先駆けて高校授業料の完全無償化が進められています。
  • 【小・中学校】引き続き授業料・教科書代が無償であることに加え、経済的な困難を抱える家庭への就学援助制度があります。また、一部地域では給食無償化の動きも見られます。
  • 国や地方自治体による様々な給付金制度も、学費の負担を軽減する上で重要な役割を果たします。

これらの制度を活用するためには、常に最新の情報を収集し、早めに申請準備を行うことが重要になってきます。文部科学省、各自治体、各学校のウェブサイトなどを定期的に確認し、ご自身に該当する制度がないか積極的に探してみてはいかがでしょうか?

(執筆者:yuffy)