【基礎工事③】玄関ステップと断熱材の選び方 見た目と断熱性に関わる仕上げ工事

B. 基礎工事
(画像:Canva AIにて作成)

家づくりで「完成後には見えなくなる」けれど、実は家の見た目や使い勝手に大きく影響する工程があります。それが基礎工事の仕上げ段階です。

「基礎工事って全部地中に埋まるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、玄関ステップや基礎の上端部分など、実は私たちの目に触れる部分もあるんです。また、断熱性や防湿性など、快適な住まいを実現するための重要な工事も、この段階で行われます。

前回までは「掘削から鉄筋組み」、「コンクリート打設と型枠工事」の流れを解説してきました。今回は基礎工事の仕上げ段階として、玄関ステップの打設から基礎断熱材の貼り付け、さらに見た目にも関わる仕上げ部分まで詳しく解説します。

この記事は基礎工事シリーズ第3回です。まだ読んでいない方はこちらもどうぞ

  •  基礎工事①:掘削〜鉄筋工事編
  •  基礎工事②:コンクリート打設と型枠工事編
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玄関ステップ打設 家の顔となる部分

家の印象を決める重要な要素の一つが「玄関」です。玄関ステップは、実際に目に見える基礎の一部となります。

玄関ステップとは?

玄関ステップとは、玄関の階段部分のことです。地面から玄関までの高さを調整し、スムーズに出入りできるようにするための段差部分です。

玄関ステップの作り方

玄関ステップは主に次のような手順で作られます。

1. 型枠の設置… 玄関の位置に合わせて、階段状の型枠を設置します。

2. 鉄筋の配置… ステップ内部に鉄筋を配置します。これにより強度が確保されます。

3. コンクリート打設… 型枠内にコンクリートを流し込みます。

4. 表面の仕上げ… コンクリートの表面を、滑りにくい仕上げにします。

玄関ステップのチェックポイント

玄関ステップは、家の印象だけでなく安全性にも関わる部分です。以下のポイントをチェックしましょう。

  • 段の寸法(高さと奥行き)は適切か
  • 表面は滑りにくい仕上げになっているか
  • 雨水が溜まらないよう、わずかな勾配がついているか
  • 鉄筋が入っているか(ひび割れ防止のため)
  • 段数や形状は設計図通りか

玄関ステップの種類と費用

玄関ステップには主に以下のような種類があります。

  • コンクリート打ち放し… 最も一般的で費用も抑えられます。コンクリートをそのまま使用するシンプルなタイプです。
    費用目安:3〜5万円
  • タイル貼り… コンクリートの上にタイルを貼り付けます。見た目がよく、滑りにくくなります。
    費用目安:5〜10万円
  • 石材仕上げ… 御影石などの天然石を使用します。高級感があり、耐久性も高いですが、費用も高めです。
    費用目安:10〜20万円

基礎天端仕上げ 土台が載る部分

基礎の最上部(天端)は、木造住宅の土台が直接載る部分です。この部分の仕上がりは、家全体の水平精度に大きく影響します。

基礎天端の重要性

基礎天端が平らでないと、その上に載る建物全体が傾いたり、ゆがんだりする原因になります。また、防湿や防蟻(シロアリ対策)の観点からも重要な部分です。

基礎天端の仕上げ方法

基礎天端の仕上げは、主に次のような手順で行われます。

  1. レベル調整… まず、レベル(水平器)を使って基礎天端の高さを確認し、必要に応じて調整します。
  2. モルタル仕上げ… 基礎天端の表面をモルタルで平滑に仕上げます。
  3. 防湿・防蟻処理… 防湿シートの設置や防蟻剤の塗布を行います。

基礎天端のチェックポイント

基礎天端の仕上がりをチェックする際は、以下のポイントに注目しましょう。

  • 水平は保たれているか(レベルで確認)
  • 表面は平滑に仕上げられているか
  • 防湿処理は適切に行われているか
  • アンカーボルトの位置と出寸法は適切か
  • ひび割れはないか

基礎天端仕上げの費用

基礎天端の仕上げにかかる費用目安

  • 一般的な住宅(30坪程度):約10〜15万円

基礎断熱材貼り 快適な住まいのために

基礎の外周部分に断熱材を貼ることで、床下からの冷気の侵入を防ぎ、家全体の断熱性能を高めることができます。

基礎断熱の目的

基礎断熱の主な目的は以下の通りです。

  • 床下の温度変化を抑え、室内環境を安定させる
  • 結露を防止し、構造材の腐食を防ぐ
  • 冷暖房の効率を高め、省エネ効果を得る
  • 床下配管の凍結防止(寒冷地では特に重要)

基礎断熱材の種類

基礎断熱に使用される主な断熱材には次のようなものがあります。

  • 発泡プラスチック系断熱材… XPS(押出法ポリスチレンフォーム)、EPS(発泡スチロール)など。 水に強く、耐久性が高い特徴があります。
  • 硬質ウレタンフォーム… 断熱性能が高く、薄い厚さでも効果が得られます。
  • フェノールフォーム… 防火性能が高く、高い断熱性能を持ちます。

基礎断熱材の貼り方

基礎断熱材の施工は主に次のような手順で行われます。

  1. 基礎表面の清掃… 断熱材を貼る基礎表面のホコリや汚れを取り除きます。
  2. 断熱材のカット… 基礎の形状に合わせて断熱材をカットします。
  3. 接着剤の塗布… 基礎と断熱材を接着する専用の接着剤を塗ります。
  4. 断熱材の貼り付け… カットした断熱材を基礎に貼り付けます。
  5. 固定と目地処理… 必要に応じて機械的固定(ビスなど)を行い、断熱材同士の隙間を埋めます。

基礎断熱のチェックポイント

基礎断熱材の施工をチェックする際は、以下のポイントに注目しましょう。

  • 断熱材の種類と厚さは設計通りか
  • 断熱材に隙間や浮きはないか
  • 断熱材同士の継ぎ目はしっかり処理されているか
  • 地面に接する部分は防水・防湿対策がされているか
  • 建物の外周全てに断熱材が貼られているか

基礎断熱の費用

基礎断熱材の施工にかかる費用目安

  • 一般的な住宅(30坪程度):約15〜30万円

この費用は断熱材の種類や厚さ、工法によって大きく変わります。また、地域の気候条件によっても必要な断熱性能が異なるため、費用も変動します。

基礎立上り部分仕上げ 見える部分の美観を整える

基礎の立上り部分(地面から出ている部分)は、家の外観にも影響する部分です。美観だけでなく、耐久性を高めるためにも適切な仕上げが必要です。

基礎立上り仕上げの目的

基礎立上り部分の仕上げには以下のような目的があります。

  • 外観の向上
  • コンクリートの保護
  • 防水性の強化
  • 耐久性の向上

基礎立上り仕上げの種類

基礎立上り部分の主な仕上げ方法には次のようなものがあります。

  • モルタル仕上げ… 最も一般的な仕上げ方法です。コンクリート表面をモルタルで平滑に仕上げます。 費用目安:1㎡あたり約2,000〜3,000円
  • 塗装仕上げ… モルタル仕上げの上に塗料を塗布します。防水性や美観が向上します。 費用目安:1㎡あたり約1,500〜3,000円
  • タイル貼り… 高級感があり、耐久性も高い仕上げ方法です。 費用目安:1㎡あたり約4,000〜8,000円
  • 石材貼り… 高級感と耐久性に優れた仕上げ方法ですが、費用も高めです。 費用目安:1㎡あたり約15,000〜30,000円

基礎立上り仕上げのチェックポイント

基礎立上り部分の仕上げをチェックする際は、以下のポイントに注目しましょう。

  • 表面は平滑に仕上げられているか
  • ひび割れはないか
  • 色むらや仕上がりムラはないか
  • 防水処理は適切に行われているか
  • 外構工事(土間コンクリートなど)との取り合いは適切か

基礎立上り仕上げの費用

基礎の立上り部分の仕上げにかかる費用目安

  • 一般的な住宅(30坪程度):約10〜20万円

境界ブロック設置 敷地と家の境界を明確に

基礎工事の一環として、敷地と道路の境界や隣地との境界にブロックを設置することがあります。これは「境界ブロック」と呼ばれ、敷地の明確化や土留めの役割を果たします。

境界ブロックの役割

境界ブロックには以下のような役割があります。

  • 敷地の境界を明確にする
  • 土の流出を防ぐ
  • 雨水の侵入を防ぐ
  • 外構工事の基礎となる

境界ブロックの種類

主な境界ブロックには次のようなものがあります。

  • コンクリートブロック… 最も一般的な境界ブロックです。耐久性があり、比較的安価です。
    費用目安:1m当たり約5,000〜10,000円
  • 化粧ブロック… 表面に装飾が施されたブロックで、見た目が良いのが特徴です。
    費用目安:1m当たり約8,000〜15,000円
  • 自然石… 天然石を使用したもので、高級感がありますが、費用も高めです。
    費用目安:1m当たり約15,000〜30,000円

境界ブロック設置のチェックポイント

境界ブロックの設置をチェックする際は、以下のポイントに注目しましょう。

  • ブロックの位置は測量図通りか
  • ブロックは水平・垂直に設置されているか
  • 基礎はしっかりしているか
  • 継ぎ目のモルタルは適切に充填されているか
  • 排水対策は考慮されているか

境界ブロック設置の費用

境界ブロック設置にかかる費用目安

  • 一般的な住宅(30坪程度):約20〜40万円

この費用は敷地の形状や境界の長さ、使用するブロックの種類によって大きく変わります。

基礎工事の仕上げ段階にかかる費用と期間

仕上げ工事の期間

基礎工事の仕上げ段階(玄関ステップ、基礎断熱材貼り、立上り仕上げなど)にかかる期間は、一般的な住宅(30坪程度)では約1〜2週間です。

【工程別の期間目安】

  • 玄関ステップ打設:1〜2日
  • 基礎天端仕上げ:1日
  • 基礎断熱材貼り:1〜2日
  • 基礎立上り仕上げ:2〜3日
  • 境界ブロック設置:2〜3日

仕上げ工事の費用相場

【玄関ステップ】 仕上げ方法による:3〜20万円

【基礎天端仕上げ】 一般的な住宅での総額:約10〜15万円

【基礎断熱材貼り】 一般的な住宅での総額:約15〜30万円

【基礎立上り仕上げ】 一般的な住宅での総額:約10〜20万円

【境界ブロック設置】 一般的な住宅での総額:約20〜40万円

費用に影響する主な要素

  • 仕上げ材の種類… 高級な素材ほど費用が高くなる
  • 施工面積… 建物の大きさや敷地の広さによって変動
  • デザインの複雑さ… 複雑な形状やデザインほど費用が高くなる
  • 地域性… 寒冷地では断熱材の厚みが増すなど、地域によって仕様が変わる

仕上げ工事が住まいに与える影響

基礎工事の仕上げ段階は、見た目だけでなく住まいの性能にも大きく影響します。

【快適性への影響】

  • 基礎断熱により床下温度が安定し、足元の冷えを防ぐ
  • 防湿対策により湿気の侵入を防ぎ、カビの発生を抑制

【耐久性への影響】

  • 適切な仕上げにより基礎コンクリートの劣化を防止
  • 水の侵入を防ぎ、構造材の腐食を防ぐ

【経済性への影響】

  • 断熱性能の向上により冷暖房費を削減
  • 耐久性の向上により将来的なメンテナンス費用を削減

現場見学時の注意点

基礎工事の仕上げ段階を見学する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 安全第一:現場は危険な場所です。現場監督の指示に従い、安全装備を着用しましょう。
  • 適切なタイミング:仕上げ工事は比較的短期間で進みます。見学したい工程がある場合は、事前に工務店に確認しましょう。
  • 質問は遠慮なく:分からないことは素直に質問しましょう。
  • 写真撮影:各工程の写真を撮っておくと後で確認できます。

まとめ 基礎の仕上げと細部がもたらす住まいの価値

基礎工事の仕上げ段階は、見た目だけでなく住まいの性能や耐久性に大きく影響します。特に断熱性や防湿性は、将来の住み心地や維持費に直結する重要な要素です。

これらの工事は、完成後に手直しすることが難しいため、設計段階から十分に検討し、施工中はしっかりとチェックすることが大切です。

費用面では少し高くなっても、長期的に見れば快適性や耐久性が向上し、維持費の削減にもつながります。家づくりの「見えない価値」を理解し、適切な投資を行いましょう。

初心者でもできる!基礎仕上げ工事のチェックポイント

玄関ステップのチェックリスト

□ 段の高さと奥行きは歩きやすい寸法になっているか

□ 表面は滑りにくい仕上げになっているか

□ 雨水が溜まらないよう、わずかな勾配がついているか

□ 段数や形状は設計図通りか

基礎断熱材のチェックリスト

□ 断熱材の種類と厚さは設計通りか

□ 断熱材に隙間や浮きはないか

□ 断熱材同士の継ぎ目はしっかり処理されているか

□ 建物の外周全てに断熱材が貼られているか

基礎立上り仕上げのチェックリスト

□ 表面は平滑に仕上げられているか

□ ひび割れはないか

□ 色むらや仕上がりムラはないか

□ 外構工事との取り合いは適切か

(執筆者:あおちゃん)