赤ちゃんと一緒に旅行に行くとき「どこで寝かせる?」「旅行先でも安心して寝かせられる?」と不安になる方は多いでしょう。
宿泊先にベビーベッドがなく、思わぬ事故やケガにつながってしまっては大変です。
この記事では、旅行中に使えるベビーベッド代用品の種類やメリット・デメリット、実際の体験談までをまとめました。安全で快適な睡眠環境を整えて、家族みんなで旅行を楽しみましょう。
旅行先でもベビーベッドがあった方が安心な理由

旅行先は慣れない環境だからこそ、安心して休めるスペースを用意することが大切です。
ベビーベッドがあると、親子ともに快適に過ごせる大きなメリットがあります。
安心できる寝場所を確保できる
旅行先は自宅とは違い、赤ちゃんにとって不慣れな環境です。そんなとき、ベビーベッドがあると赤ちゃん専用の安全なスペースを作れます。
大人用の布団やベッドに比べて周囲に障害物が少ないため、知らないうちに顔が埋もれるといった心配も減り、落ち着いて眠れる環境を整えられます。
親も安心して過ごせる環境が整う
赤ちゃんをベビーベッドに寝かせられると、親も「隣で押しつぶしてしまわないか」といった不安から解放されます。
夜中の授乳やおむつ替えも、ベッドの横で手を伸ばすだけでできるので動線がスムーズ。
環境が違う中でもストレスが軽減し、旅行の時間をよりリラックスして過ごせるでしょう。
宿泊施設にベビーベッドがないときのリスク

宿泊先にベビーベッドがあれば良いですが、旅館やホテルによってはベビーベッドがない場合もあるでしょう。
その場合は代用品で対応するのも選択肢の1つですが、事故や生活リズムの乱れにつながるかもしれません。
ここでは、ベビーベッドの代用品を使ったときに起こり得るリスクを整理します。
思わぬ事故につながる危険転落や窒息の危険性
赤ちゃんを大人用ベッドやソファに寝かせると、寝返りで転げ落ちたり、布団や枕で顔がふさがってしまったりするリスクがあります。
旅先では環境が違うため、いつもと同じように過ごせない場合もあるでしょう。
慣れない環境で過ごすことで、予期せぬ事故につながるおそれがありますす。旅行先では、自宅以上に注意が必要です。
親子ともに睡眠不足になる可能性
ベビーベッドがない場合は、添い寝や簡易的な布団を使うケースが考えられます。
しかし、赤ちゃんが慣れないために夜泣きが増えるかもしれません。親も細切れに起きることになり疲れが取れず、翌日の観光や移動に支障が出てしまうケースも考えられます。
旅行先で安心して使えるベビーベッド代用品と注意点

旅行中、宿泊先にベビーベッドがない場合は、代用品を活用することも一つの方法です。
ただし、中には安全に使用できないものや、誤った使い方で事故につながるおそれのあるアイテムもあります。
ここでは、旅行中に代用できる寝具の種類と、それぞれを安心して使うための注意点を紹介します。赤ちゃんの月齢や発達段階に合わせて、無理のないものを選ぶことが大切です。
ベビー布団
荷物は増えますが、赤ちゃんにとっては慣れた布団が一番安心できる環境です。普段と同じ布団を持っていけば、環境が変わっても落ち着いて眠れるため、親も安心して過ごせるでしょう。
特に和室の宿泊先では床に敷くだけで使えるので、ベッドからの転落を気にしなくて済む点も大きなメリットであるといえます。
ただし布団はかさばりやすいため、持ち運びには工夫が必要です。車移動なら問題ないケースが多いですが、電車や飛行機など公共交通機関を利用する場合は負担が大きくなるため別のもので代用した方が良いでしょう。
ベッドインベッド
ベッドインベッドは旅行中に便利な代用品の一つですが、2025年5月に日本小児科学会から生後5ヶ月の赤ちゃんが転覆により窒息する事故が報告されており、使用には十分な注意が必要です。
大人用ベッドの上に置く際は、必ず平らで安定した場所に設置し、使用中は大人の見守りが欠かせません。
事前にホームページ画像などで、安定してベッドインベッドを設置できる場所があるか確認しておきましょう。
ポータブルベビーベッド(折りたたみタイプ)
旅行や帰省のときの選択肢のひとつが、折りたたみ式のポータブルベビーベッドです。軽量でコンパクトに収納できるものが多く、車移動はもちろん、新幹線や飛行機でも持ち運ぶことができます。
専用のマットやカバーが付属しているタイプなら、赤ちゃんの寝心地も安定し、衛生面でも安心感があります。短期滞在だけでなく、長めの旅行でも使いやすい点が魅力です。
商品によって、サイズや組み立て方が異なります。購入やレンタルを検討する際は、使用する部屋の広さや移動手段を考慮して選ぶと、失敗が少ないでしょう。
クーファン
持ち手付きでそのまま赤ちゃんを移動できるのが、クーファンの大きな特徴です。
ただし、消費者庁は2025年2月にクーファンの落下事故について注意喚起を行っており、製品によっては赤ちゃんを入れたままでの持ち運びを禁止しているものもあります。
必ず製品の取扱説明書を確認し、安全な使用方法を守るようにしましょう。
ベビーサークル
宿泊先にスペースの余裕があるなら、ベビーサークルを寝床代わりに使う方法もあります。囲いがあるため、赤ちゃんが自由に動き回っても安心です。
中にマットや布団を敷けば、昼寝や夜の就寝スペースとしても使えます。さらに、遊び場としても活用できるので「寝る+遊ぶ」を一つでまかなえるのが魅力です。
ただし、サイズが大きいものを荷物として持ち運ぶのは大変でしょう。車移動で余裕があるときに検討する、選択肢のひとつといえます。公共の交通機関などを利用する場合は、現地でのレンタルも検討するのも良いでしょう。
大人用布団は使える?
大人用布団は赤ちゃんには適さないため、基本的には使用を避けることが大切です。消費者庁やこども家庭庁は、赤ちゃん専用の固めの寝具の使用を強く推奨しています。
やむを得ず大人用布団を使用する場合は、できるだけ固めのものを選んで顔周りに一切物を置かないようにし、常に大人が見守れる状況で使用するようにしましょう。
安全のためにタオルやクッションを周囲に置きたくなるかもしれませんが、逆に窒息のリスクを高める恐れがあるため注意が必要です。
これらの代用品を使用する際は、赤ちゃんの月齢も考慮しましょう。寝返りを始める生後3-6ヶ月頃は特に転落や窒息のリスクが高まるため、より慎重な環境整備が求められます。
また、万が一の場合に備え、事前に旅行先の最寄りの医療機関の場所を確認しておくことも大切です。
※参考:日本小児科学会「Injury Alert(傷害速報)No. 147 ベッドインベッドの転覆による窒息」
※参考:こども家庭庁「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」
※参考:消費者庁「Vol.607 就寝時の窒息事故に気を付けましょう 」
実際の体験談|旅行中にベビーベッド代用品を使ってみた

代用方法にはさまざまな方法がありますが、実際にどれが良いのか迷う方も多いでしょう。そんなとき参考になるのが、先輩ママ・パパの体験談です。
私自身も旅行でベビーベッドを代用した経験があり、成功と失敗の両方を体験しました。あなたの旅行がより快適で楽しいものになるよう、実際の口コミをご紹介します。
失敗体験|ホテルのレンタルベッドで寝てくれなかった
私は、息子が5ヵ月の頃に家族で県外に行く機会があり、ホテルでベビーベッドをレンタルしました。清潔なうえにしっかりした作りで安定感があったため、「これなら安心!」と思ったのですが…
いざ寝かせてみると、息子は全然落ち着きません。夜中に何度も起きて泣いてしまい親子ともに寝不足となってしまいました。

「子どもって、慣れないベッドだと寝にくいんだな」「いつもと同じ環境って大事なんだな」と痛感した出来事です。
成功体験|ベビー布団を持参して安心できた
レンタルしたベビーベッドでは寝られなかったという反省を生かし、8ヵ月のときにホテルに宿泊した際は、思い切ってベビー布団を持参しました。
正直「荷物になるな…」と思ったのですが、大正解。慣れた布団だったこともあり、息子はすぐに熟睡することができました。和室のお部屋で転落の心配もなく、私も安心して寝られたのでよかったです。
「荷物にはなるけれど、やっぱり安心できる環境って大事なんだな」と実感しました。
ベビーベッドの代用品を使う場合の注意点

ベビーベッド代用品は便利ですが、使い方を誤ると赤ちゃんの安全に関わる可能性があります。安心できる環境を整えることが可能です。
ここでは、旅行中に代用品を安全に使うためのポイントを整理します。
転落や窒息を防ぐ工夫
赤ちゃんを代用品で寝かせるときに最も注意したいのは、転落と窒息のリスクを減らすことです。

特に寝返りをする時期の赤ちゃんは、ちょっとした段差や隙間から落ちたり、布団に顔が埋もれてしまうおそれがあるよ💦
そのため、床に布団を敷いて使う場合はできるだけ固めのマットを選びましょう。ベッドインベッドやクーファンを利用する場合は、顔まわりにタオルや枕などは置かないようにし、思わぬ事故を防ぐための対策をすることが大切です。
また、親と同じベッドで添い寝する際は、赤ちゃんの寝る位置を工夫することが欠かせません。
ベッドガードを活用したり、赤ちゃん専用のスペースを明確に区切ることで、夜中に親が無意識に体を寄せてしまうリスクを防ぐことができます。
通気性・室温・湿度の調整
旅行先の宿泊施設は、自宅と比べて空調や換気の条件が異なるため、通気性や室温・湿度の管理が欠かせません。

赤ちゃんは体温調整が未熟なので、少しの蒸れや乾燥でも眠りが浅くなったり、体調を崩す原因になることがあるよ💦
ベビーベッド代用品を使うときは、まず寝具の通気性を意識しましょう。厚手の布団や柔らかすぎるマットは熱や湿気がこもりやすいため、通気性の良いシーツやガーゼ素材を重ねると快適です。
さらに、エアコンを使用する際は直接風が当たらない位置に寝かせ、加湿器やぬれタオルを準備して適度な湿度を保つこともポイントです。
不安な方は小型の温湿度計を持参すれば、旅行先でも安心して赤ちゃんの環境をチェックできます。
寝かせる位置の工夫
赤ちゃんを安全に寝かせるためには、どこに寝かせるかという位置の工夫も欠かせません。大人用ベッドに代用品を置く場合は、必ず壁際やベッドガードを活用して、転落の危険を減らしましょう。
ベッドと壁の間に隙間があると、赤ちゃんが挟まってしまう危険があるため、しっかりと確認しておくことが大切です。
また、親と添い寝をする場合には、赤ちゃんをベッドの中央ではなく端に寝かせ、掛け布団が顔にかからないよう注意しましょう。布団や枕は最低限にし、赤ちゃん専用のスペースを確保することが安心につながります。
和室や畳の部屋で布団を使う場合は、夜間の移動や授乳もしやすくするため、家具や障害物から少し離れた位置に寝かせるのも良いでしょう。

乳幼児の就寝環境については、厚生労働省や日本小児科医会などからもガイドラインが出ているから、事前に確認しておくと安心だよ。
※参考:日本小児科学会「乳児の安全な睡眠環境の確保について 2024年改訂「寝ている赤ちゃんのいのちを守るために」(こども家庭庁)に関する見解」
※参考:厚生労働省「11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間です~睡眠中の赤ちゃんの死亡を減らしましょう~」
まとめ|旅行中のベビーベッド代用は安全第一で
赤ちゃんと一緒の旅行では、宿泊先にベビーベッドがないこともあるでしょう。そんなときは代用品を活用し、安全で快適な寝場所を確保できます。
ただし、布団やクーファン、ポータブルベッドなどにはそれぞれメリットとデメリットがあり、どれを選んでも「安全性の確保」が最優先です。体験談からもわかるように、慣れた寝具を持参することや、寝かせる位置・環境を整えることは大きな安心につながります。
安全な睡眠環境を整えるには、以下のポイントを押さえることが大切です。
・あおむけ寝(医師の指示がない限り)
・固めのマットレス
・タオル、ぬいぐるみ、厚手の掛け布団を避ける
・PSCマーク付きの安全基準に適合した製品を選ぶ
旅行中の荷物や費用を考えると迷う場面もありますが、場合によってはレンタルを活用するのも選択肢の1つです。家族みんながリラックスして旅行を楽しめるよう、赤ちゃんに合った方法を選びましょう。
(執筆者:渡辺 ゆき)