育休中にマイホーム購入を考えている方の中には、「収入がない今、住宅ローンなんて通るはずがない」と不安を感じている方も多いでしょう。
私も下の子の育休中に申し込みを検討したとき、まさにその不安の真っ只中にいました。
しかし実際に動いてみると、育休中でも審査は通ります。
この記事では、私が育休中に複数の銀行で住宅ローンの審査を通過した実体験をもとに、銀行が本当に見ている「信頼性の条件」と、それをクリアするための具体的な準備方法をまとめました。
育休中の住宅ローン審査で銀行が見る「3つの信頼性」

ネットでは「育休中は審査に通りづらい」といった情報も多く見かけますが、実際には銀行が見ているのは「今の収入額」ではありません。
審査で重視されるのは、次の3つの信頼性です。
1. 雇用の継続性
正社員として雇用関係が継続しているか。一時的な休業であり、解雇や退職ではないことが信頼性アップにつながります。
2. 復職の確実性
育休明けに確実に職場復帰する見込みがあるか。口頭説明で済む場合もあれば、復職予定証明書が求められることもあります。
3. 過去の収入実績と勤務先の安定性
フルタイム勤務時の収入、勤続年数、勤務先の規模や安定性。こういったものが「将来の返済能力」を裏付ける根拠となります。
私の場合は、勤続10年以上・大企業勤務という背景があり、これが大きな信頼材料になったと考えています。
つまり、育休中の審査とは「今いくらもらっているか」ではなく、「復職後にきちんと返済できる人か」を過去と未来の情報で判断される場です。
【実体験】育休中に複数行の審査を通過するまでの流れ

1.わが家のローン設計と審査のリアル
まず、我が家の住宅ローン条件をまとめると、次の通りです。
物件・ローン条件まとめ
- 物件:都市部近郊/駅徒歩圏内/築15年の中古戸建
- 面積:土地約160㎡/物件約110㎡
- 借入金額:4,000万円台
- ローン期間:35年
- 借入形態:ペアローン(夫婦それぞれ契約)
- 負担割合:夫50%・妻50%
- 金利タイプ:変動金利(0.790%)
- 団信:特約なし(基本保障のみ)
- 銀行:りそな銀行
- 年収目安:妻 約500万円(産休前)/夫 約400万円
- 勤続年数:妻10年以上(大企業)/夫1年半(中小企業)
- 年齢:夫婦ともに30代半ば
申込時は、私が育休中、夫は転職して1年半というやや不安定な状況でしたが、
双方の勤務先と年収バランスを踏まえたペアローンで無理なく審査を通過しました。
ペアローンを選んだ理由は以下の3つです。
- 夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
- 返済負担を平等に分けられることで心理的にもフェア
- 育休中の収入減を夫側でカバーできる
金利タイプは変動金利を選択。
リサーチ時の最安は0.650%台でしたが、私たちの勤務・収入条件で提示された金利としては妥当な範囲であり、りそな銀行の金利条件と対応のバランスが良かったため、そのまま申込みを進めました。
変動金利を選んだ理由は、初期の金利負担を抑え、夫の年収上昇を見込んで繰り上げ返済でリスクを軽減する計画を立てていたためです。
将来的な金利上昇があっても、早めの返済で備えられるよう意識していました。
団信については、特約を付けると金利が上がるため、まずは基本保障のみで契約。
今後のライフステージに応じて見直す予定です。
また、物件は都市部近郊の駅徒歩10分圏内にある築15年の中古戸建。土地約165㎡・建物約110㎡と、ファミリーには十分な広さがあります。
築年数が浅すぎず深すぎないことで、価格と担保価値のバランスが良く、銀行の審査でもプラスになったのではと感じています。
返済を半々に分けたことで家計のバランスが取りやすくなり、「家を買った」ではなく「家を一緒に守っていく」という意識に変わりました。
2. 審査申込の経過と結果
育休中に2回審査申込を行いました。その時の状況と結果を紹介します。
1回目の申込(夫の勤続1年未満)
| 銀行名 | 結果 |
|---|---|
| ろうきん | ◯(本審査まで通過) |
| 横浜銀行 | × |
| auじぶん銀行 | × |
ろうきんで本審査も通過し契約しようと思ったのですが、物件購入が直前で取りやめになり辞退。※こちらは先に記した物件とは別の物件になります(物件の広さや築年数はやや劣っていました)
2回目の申込(夫の勤続1年半/私は勤続10年以上)
| 銀行名 | 結果 |
|---|---|
| ろうきん | ◯ |
| りそな銀行 | ◯ |
| 静岡銀行 | ◯ |
最終的に「りそな銀行」で契約を締結しました。
りそな銀行を選んだ理由:
- 金利が3行の中で最も低かった
- 仮審査から契約まで多くの手続きがネットで完結
- 育休中でも進行管理がしやすかった
2回目は夫が勤続年数が1年超えたこともあり、前回よりは通りやすくなった印象でした。
3. 実際に提出した書類(りそな銀行の場合)
私が用意したのは以下の3点です。
- 源泉徴収票(フルタイム勤務時+育休中の直近分)
- 課税証明書(同上)
- 育休証明書(休業証明書/ろうきんのみ本審査では提出が必要と言われた)
提出不要だった書類:
- 在籍証明書
- 復職予定通知
- 保育園内定書
復職予定については「○月に復帰予定です」と口頭で伝えただけで対応できました。
ただし、これはりそな銀行の場合であり、銀行によっては追加書類を求められることもあります。事前に担当者へ確認するのがおすすめします。
4. 書類不備で審査がストップ!最短で進めるための教訓
審査の途中で、課税証明書の年度違いにより一度手続きが止まりました。
銀行ごとに求める年度や書類形式が微妙に異なるため、
「どの年度分を出すのが正しいか」を最初に必ず確認すること
が重要です。
課税証明書や源泉徴収票は再発行に時間がかかるため、書類不備をゼロにすることが、審査を最短で進める唯一の方法です。
銀行に急いでほしいと頼むことはできますが、審査スピード自体は銀行側の判断。こちらができるのは、完璧な準備だけです。
銀行タイプ別の特徴

審査を進める中で、不動産会社のローン担当者から興味深い話を聞きました。
ネット銀行
- メリット:金利が安い、団信の補償が手厚い傾向
- デメリット:リフォーム費用をローンに組みにくい、審査条件がやや厳しめ
地方銀行
- 銀行ごとに温度差が大きい
- 横浜銀行はやや審査が厳しめ(実体験)
- 地域密着型の地銀では柔軟に対応してくれるケースも
都市銀行(メガバンク)
- 条件は平均的
- 勤続年数と勤務先の安定性があれば問題なく通る印象
ろうきん(労働金庫)
- 他行よりも借入額を多く組める傾向
- 引っ越し費用や家電購入資金まで含められることも
あくまで担当者談ではありますが、「どこに申し込むか」を最初に見極めるだけで、審査の通りやすさやスムーズさは大きく変わります。
育休中の住宅ローン審査を通すための5つのポイント

実際にやってみて分かったのは、「銀行の基準を満たす信頼性を証明できるか」が全てだということです。
1. 申込タイプを早めに決定する
単独・ペア・収入合算を早めに決めることで、書類確認や担当者との連携がスムーズになります。
2. 復職予定は明確に伝える(書類の準備も視野に)
口頭説明で済む場合もありますが、銀行によっては復職予定証明書や休業証明書を求められます。事前に会社に相談しておくと安心です。
3. 勤続年数・勤務先の安定性が最大の信用材料
私の場合、勤続10年以上・大企業勤務という背景が、審査通過の決め手になったと感じています。この2つは「将来の返済能力」を証明する最も強い根拠です。
4. 書類不備を絶対に出さない
審査スピードを上げる唯一の方法です。年度や形式を事前に確認し、完璧な状態で提出しましょう。
5. 金利が低く団信が手厚い銀行ほど審査はシビア
低金利で充実した団信を提供する銀行ほど、審査基準が厳格です。書類の精度や詳細な情報提出がより求められます。
まとめ:育休中でも住宅ローンは通せる。鍵は「信頼性の証明」
育休中はたしかにハードルが高く見えますが、実際には「通る・通らない」は準備量ではなく、銀行が求める信頼性の条件を満たしているかで決まります。
私の場合も、復職通知書や在籍証明は提出せず、勤続年数・勤務先・過去の収入実績といった「信頼の根拠」が明確だったことで、複数行の審査を通過しました。
つまり、育休中でも「雇用が継続し、復職後の返済見込みが立つ」と銀行が判断すれば、審査は通ります。
反対に、その条件が整っていなければ、いくら準備しても厳しいのが現実です。
焦る必要はありません。
大切なのは、「通らない理由」をなくす方向で、銀行が求める信頼性を一つひとつ証明していくこと。
育休中だからこそ、落ち着いて信頼を示す準備をしておくことが、結果的に最短の近道になりますよ。
(執筆者:あい)


