9月になって、涼しいと感じる時間が少しずつ増えてきましたね。でも、涼しくなってきたからといって油断は禁物。意外と見落としがちなのが、9月からのダニ対策です。
「ダニって梅雨や夏に増えるんじゃないの?」「もう夏も終わるし大丈夫でしょ」実は私もそう思っていました。
ところが、夏に増えたダニが寿命を迎える9〜10月は、アレルゲンとなる死骸やフンにも注意したい時期なんです。
しかも、わが家でも普通にやっていた「布団の天日干し」だけでは、生きたダニを十分に死滅させるのは難しいこともわかりました。なぜ9月にもダニ対策が必要なのか、天日干しだけでは不十分な理由とあわせて紹介します。
そもそもダニってどんな生き物?

「ダニが増える」「ダニに刺された」「ダニアレルギー」など、普段から何かと耳にする「ダニ」という言葉。でも、そもそもダニってどんな生き物なのか、実はよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
ひとくちにダニといっても種類はさまざまで、人を刺すものもいれば、刺さないものもいます。まずは、私たちの家の中でよく問題になる「ダニ」がどんなものなのか、簡単に見ていきましょう。
布団やカーペットに多いのは「ヒョウヒダニ」
実は「ダニ」とひとことで言っても、すべてが人を刺すわけではありません。

日本の室内には10種類程度のダニがいるとされ、その多くを占めるのが「チリダニ科」のダニです。なかでも家庭でよく見られるのが、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニという2種類。
大きさは0.3〜0.4mmほどで、普通は肉眼ではほとんど見えません。そして意外なのが、このヒョウヒダニたちは人を刺さないということ。
マダニのように人の血を吸って生きているわけではなく、人のフケや垢、食べこぼし、カビなどをエサにして、布団やカーペット、畳、布製ソファなどに潜んでいます。
「じゃあ、刺さないなら別にいても問題ないのでは?」と思いますよね。ところが、そうとも言えません。
ヒョウヒダニは、生きているダニだけでなく、フンや死骸、脱皮したあとの抜け殻などもアレルゲンになります。 それらを吸い込むことで、アレルギー性鼻炎や気管支喘息などの症状につながることがあります。
つまり、家庭のダニ対策で考えたいのは「刺されるかどうか」だけではなく、目に見えないダニ由来のアレルゲンをどれだけ減らせるかということなんです。
ダニは水を飲まない?湿度が重要な理由
「ダニは高温多湿が好き」というのは聞いたことがある人も多いと思います。
でも、なぜ湿度がそんなに重要なのでしょうか。
実はヒョウヒダニは、私たちのように水を直接飲むのではなく、空気中の水分を体に取り込んで生きています。
神奈川県衛生研究所によると、チリダニ類が繁殖しやすい湿度は60〜85%程度。東京都も、ヒョウヒダニ類に適した環境として温度25〜30℃、相対湿度60〜80%を挙げています。
だから、梅雨から夏の「暑い+ジメジメ」は、ダニにとってかなり好都合。
しかも、ダニが増える条件は温度と湿度だけではありません。「エサ」「潜り込める場所」「適した温度・湿度」がそろうと増えやすくなります。
考えてみると、布団ってかなり条件がそろっていますよね。寝ている間の汗で湿気がこもりやすく、人のフケや垢が落ちる。さらに繊維の奥には身を隠せる場所もたくさんあります。
布団やカーペット、ソファにダニが多いのには、ちゃんと理由があるんです。
条件がそろうと、約1か月で卵から成虫に
もうひとつ驚いたのが、増えるスピードです。

ヒョウヒダニ類は、条件がよければ卵から成虫になるまで約1か月。東京都の資料では、メスは2〜6か月ほど生き、約100個の卵を産むとされています。
東京都が「ネズミ算ならぬ“ダニ算”」と表現しているほど、条件がそろえば短期間で増えていきます。
そして、室内から完全にいなくなるわけではなく、ヒョウヒダニ類は一年を通して家の中に生息しています。
一般的には梅雨頃から増え始め、東京都の資料では7月下旬〜9月上旬に数が多くなるとされています。「じゃあ、涼しくなる9月を過ぎればもう安心?」……と思いたいところですが、実はそうではありません。
ここから問題になってくるのが、夏の間に増えたダニが残していく死骸やフンです。
これが、9月以降もダニ対策をおろそかにできない理由につながってきます。
夏じゃなく、9月以降にもダニ対策が必要な理由

ここまで読んで、「でも、ダニが増えるのは暑くてジメジメした夏なんでしょ?」と思った人もいるかもしれません。
たしかに、生きたダニが増えやすいのは梅雨から夏にかけて。東京都の資料でも、ヒョウヒダニ類は梅雨頃から増え始め、7月下旬〜9月上旬に最も数が多くなるとされています。
でも、ダニ対策は「生きているダニが多い時期」だけ考えればいいわけではありません。
むしろ秋になると気をつけたいのが、夏の間に増えたダニが残していく「死骸やフン」です。
夏に増えたダニが秋に寿命を迎える
梅雨から夏にかけて増えたダニは、そのままずっと生き続けるわけではありません。
前述したヒョウヒダニ類の場合、メスの寿命はおよそ2〜6か月。夏の間に増えたダニは、秋になると寿命を迎えるものが増えてきます。
すると、布団やカーペットなどに残るのが大量の死骸や、それまでに排出されたフンです。
「死んでるなら、もう大丈夫じゃないの?」
と思ってしまいますが、実はここがダニ対策のややこしいところ。
家庭で問題になるヒョウヒダニは、生きているダニだけでなく、死骸やフンなどもアレルゲンになります。
環境再生保全機構でも、「ダニが増えるのは夏ですが、ダニが死んで細かくなり、ぜん息の増悪のリスクとなるのは秋」と紹介しています。
つまり、
夏:生きたダニが増える時期
秋:夏に増えたダニの死骸などにも注意したい時期
ということ。
「涼しくなった=ダニの心配も終わり」ではなく、むしろ夏に増えたダニの“後始末”まで考えたいのが秋なんです。
死骸やフンは小さくなって空気中に舞い上がる
さらに厄介なのが、ダニの死骸やフンは、そのままずっと大きな塊で残っているわけではないこと。乾燥したり時間が経ったりすると細かくなり、ホコリなどと一緒に空気中へ舞い上がることがあります。

そのため、問題になるのは「布団に触れること」だけではありません。
寝返りを打ったり、布団を上げ下ろししたり、部屋の中を歩いたりすることで舞い上がったアレルゲンを吸い込むこともあります。
特に寝具は、毎日長い時間、顔を近づけて使うもの。
ダニそのものが見えなくても、その死骸やフンまで含めて減らすことが大切というわけです。
秋のくしゃみ、わが家でも気になっていました
そういえば、わが家でも季節の変わり目になると、息子のくしゃみが気になることがありました。
秋のくしゃみというと、気温差や花粉などを真っ先に思い浮かべていたので、最初からダニを疑っていたわけではありません。
もちろん、秋にくしゃみが出たからといって「原因はダニ」と決めつけることはできません。
秋は気温や湿度の変化が大きいうえ、ブタクサやヨモギなどの花粉、ウイルスなど、アレルギーや呼吸器症状に関係する要因がほかにもあります。
ただ、ダニについて知ってからは、「秋のダニアレルゲン」という可能性もあるんだと知りました。
山梨大学医学部附属病院アレルギーセンターでも、ダニアレルゲンを取り除くことは、通年性アレルギー性鼻炎や気管支喘息のコントロールに重要だとしています。
「夏が終わったから、もうダニは大丈夫」
そう思って寝具のダニ対策を終わらせてしまうのは、ちょっと早いのかもしれません。
むしろ9月以降は、夏に増えたダニをどうするかだけでなく、残った死骸やフンをどう取り除くかまで考える必要があります。
そして、ここで私がもうひとつ勘違いしていたことがありました。それが、ずっとダニ対策になると思っていた「布団の天日干し」です。
結局、ダニ対策はどうすればいい?

ここまで、夏に増えたダニの死骸やフンが秋にも残ることをお伝えしてきました。
では、9月以降は具体的に何をすればいいのでしょうか。
まず知っておきたいのが、「生きたダニへの対策」と「死骸やフンなどのアレルゲンを取り除く対策」は別だということ。
ここを分けて考えると、ダニ対策がぐっとわかりやすくなります。
天日干しや洗濯「だけ」では不十分
まず、私もずっとダニ対策になると思っていたのが、布団の天日干しです。
晴れた日に布団を干して、取り込んだときにホカホカになっていると、「これだけ熱くなればダニもいなくなったでしょ」と思いますよね。
ところが、実際はそう簡単ではありません。
ウェザーニュースが紹介している日革研究所の実験では、布団を天日干ししたあとのダニの生存率は、3月で90%以上、8月でも約80%だったそうです。
しかも8月の実験で布団の温度を測ると、日光が当たる表面で43℃、裏面では36℃。
真夏に干した布団でも、生きたダニを十分に死滅させるほどの温度にはなっていなかったんです。
山梨大学医学部附属病院アレルギーセンターでも、「布団を干すだけではダニは死にません」と説明しています。
では、洗濯ならどうでしょうか。
「丸洗いすれば、さすがに流れていくでしょ」と思うところですが、日革研究所の実験では、一般的な洗濯機で洗ったあとでも6割以上の生きたダニが残っていたとされています。
ダニは繊維にしがみつくため、普通に洗っただけではすべての生きたダニを取り除くのは難しいようです。
ただし、ここで間違えたくないのが、天日干しも洗濯も「意味がない」わけではないということ。
天日干しは布団の湿気を減らし、ダニが増えにくい環境をつくるのに役立ちます。一方、洗濯はダニのフンなど、水に溶けやすいアレルゲンを減らすのに有効です。
つまり、
天日干し=主に湿気対策
洗濯=主にアレルゲンを洗い流す対策
と考えるとわかりやすいです。
ちなみに、昔よくやっていた「干した布団をバンバン叩く」のもおすすめできません。強く叩くのではなく、表面に残った死骸やフンなどを掃除機でゆっくり取り除くことが大切です。
正解は「加熱する」→「取り除く」
では、生きたダニと死骸・フンの両方に対策するにはどうしたらいいのか。
ポイントは、
①熱を加えて、生きたダニに対策する
②残った死骸やフンを取り除く
この2段階です。
山梨大学医学部附属病院アレルギーセンターでは、寝具のダニ対策として、3か月に1回程度、50℃の乾燥機で30分程度加熱する方法を紹介しています。
家庭で取り入れやすい方法のひとつが、布団乾燥機です。
「ダニ対策モード」などを搭載している機種なら、寝具を高温で加熱できます。ただし、温度や運転時間、対応している寝具は製品によって違うため、使用するときはメーカー指定の方法を確認してください。

そして、加熱したら終わりではありません。
ここが、今回ダニについて調べていて特に大事だと感じたところです。
熱でダニを死滅させても、その死骸やフンが布団の中に残っていれば、アレルゲンまでなくなったわけではありません。
洗える寝具なら洗濯し、掃除機を使う場合はゆっくり吸い取ります。
山梨大学医学部附属病院アレルギーセンターでは、寝具に掃除機をかける場合、1㎡あたり20秒程度を目安として紹介しています。
ササッとかけて終わりではなく、ゆっくり時間をかけるのがポイントです。
「生きたダニを加熱」→「死骸やフンを除去」
この2つをセットで考えるのが、寝具のダニ対策では重要なんですね。
普段は「ダニを増やしにくくする」ことも大切
とはいえ、毎日のように布団乾燥機を使って、そのあと掃除機をかけるなんて現実的ではありません。
そこで普段は、そもそもダニが増えにくい環境をつくることを意識します。

ダニは高温多湿を好むので、布団に湿気をためないこと。シーツやカバーを定期的に洗い、部屋を換気すること。カーペットや寝具などもこまめに掃除すること。
前述したように、天日干しもここでは役立ちます。
「天日干しではダニは死なない=干しても意味がない」ではなく、湿気を減らして増えにくくするために干すと考えればいいんです。
防ダニ加工の寝具などを補助的に取り入れる方法もあります。
ダニ捕りシートなどの対策グッズを使う場合も、それだけに頼るのではなく、こうした基本的な対策と組み合わせて使うのがよさそうです。
ここまでわかると、ダニ対策って「とにかく退治する」というより、
増やさない → 加熱する → 残ったアレルゲンを取り除く
この3つで考えると、かなり整理しやすくなりますね。


まとめ|「夏が終わればダニも終わり」ではなかった
ダニといえば梅雨から夏。私もずっとそんなイメージを持っていました。
でも、夏に増えたダニが寿命を迎える9〜10月は、寝具などに残る死骸やフンにも注意したい時期です。
さらに、「布団は天日干ししているから大丈夫」というのも少し違いました。
天日干しは布団の湿気を減らすためには役立ちますが、生きたダニを十分に死滅させる方法ではありません。
だからこそ意識したいのが、
「熱を加える」→「死骸やフンを取り除く」
という2段階の対策です。
涼しくなってきて「もうダニは大丈夫かな」と思い始める9月。
実はそんな今こそ、夏の間に使い続けた寝具のダニ対策を一度見直してみてもいいかもしれませんね。
参考資料
- 山梨大学医学部附属病院アレルギーセンター「やまなしアレルギーNavi」FAQ
- ウェザーニュース「天日干しでもダニは死なない? 知っておきたい“生存率”と死滅させる方法」
- 日革研究所「ダニ対策に天日干しは効果がない?正しいダニ退治の方法を徹底解説」
- 東洋経済オンライン「ダニが死滅する9月こそ『寝具の手入れ』の好機だ」
(執筆者:yuffy)

